さいじきのにほんご：帰省（きせい）

８月がつ：帰省きせい
　月遅つきおくれのお盆ぼん（いまでは全国的ぜんこくてきに８月盆がつぼんが多おおいかな）が近ちかづいてきて、「夏休なつやすみ」もとい「お盆休ぼんやすみ」の時期じきになったのでしょう、大おおきな荷物にもつを持もって電車でんしゃに乗のっている人ひとを見みかけます。ラッシュ時じの乗客自体じょうきゃくじたいちょっと減へりましたね。新型しんがたコロナの勢いきおいいが収おさまらないこの時期じき、県境けんざかいを越こえての移動いどうは控ひかえるように政府せいふや自治体じちたいから要請ようせいされていますけれど、昨夏さくかとは異ことなり、皆みなそれぞれの判断はんだんで動うごいていらっしゃるようです。2年目ねんめに入はいって、さらに先さきが見みえない状況じょうきょうでは致いたし方かたないとも感かんじますが、くれぐれも感染防止策かんせんぼうしさくだけはお忘わすれなく。

　さて、そんなお盆休ぼんやすみにつきものなのが「帰省きせい」ですね。「帰き」という字じは、故郷こきょうに帰かえるわけですから特とくに不思議ふしぎとも思おもいません。しかし、「省せい」はどういう意味いみなのか…。行政ぎょうせいなどで使つかわれる場合ばあいは「しょう」と読よみ、「省する」と書かいて「せいする」と読よむときは「反省はんせいする」の意味いみで、素直すなおに「反省はんせいする」と書かくことが多おおいように思おもいます。「省みる」で訓読くんよみの「かえりみる」はまだ見みかけますね。

　「帰省きせい」という言葉ことばは、中国ちゅうごくの漢詩かんしに由来ゆらいするもので、江戸時代えどじだいまでの日本にほんではあまり使つかわれていなかったという指摘してきもあります。意味いみは「父母ふぼを顧かえりみる」だそうです。ただ郷里きょうりに帰かえって、幼馴染おさななじみや同窓生どうそうせいとわいわい騒さわぐのでは「帰省きせい」とは言いえないようです。