さいじきのにほんご:お中元(おちゅうげん)
「歳時記」とは、四季の事物や年中行事をまとめたものを指します。
日本人が当たり前に考え、しかし世界的に見ると当たり前でないもの、それが四季です。
「日本らしさ」を理解するうえで、日本の四季とそれに沿った日本人の営みによってはぐくまれてきた伝統や風習は欠かせないものでしょう。
7月:お中元
1年が半分おわったところで、親類やお世話になった人へ感謝の気持ちを込めて贈り物をする習慣です。西日本では8月に贈ることもあります。
元々は古代中国の※中元節と仏教の盂蘭盆会が結びついたものと言われています。親類やお世話になった人へ贈り物をするようになったのは江戸時代のようです。
現代では、特に若い世代を中心に半数程度の人がお中元をしなくなっていると言われています。「※虚礼廃止」という理由もあるようですが、「日本人は感謝の気持ちを大切にする」といった海外での評価を聞くにつれ、風習と同時に「日本人らしさ」がなくならなければいいなぁと感じます。
※中元節:道教の神様「地官大帝」の誕生日。ご先祖さまだけでなく、地獄の門が開いて成仏できなかった霊や悪霊もこの世に戻ってくると言われているため、燈籠流しをして霊を鎮め、神を祀る。
※虚礼廃止:虚礼は「気持ちや精神が伴っていないのに表面上で見せかけている、形骸化した儀礼」のことで、「廃止」はやめること。見せかけだけのやり取りはやめようという意味。会社などで、気持ちが伴わないのに「(上司に対して)しなければならない」というハラスメントにつながるという指摘があり、虚礼廃止が叫ばれている。