さいじきのにほんご:秋の彼岸(あきのひがん)
9月20日は「敬老の日」であると同時に秋の「彼岸の入り」です。
「彼岸」とはもともと、私たちが生きている「此岸(この世)」に対して、「向こう岸(仏さまの世界)」を意味する仏教の用語です。しかし現代では、「秋の彼岸」は秋分の日を中日とした前後3日間を合わせた7日間と、その期間に執り行なわれる仏事のことを指します。お盆のように飾りつけをするといったことはありませんが、一般的にはお墓参りや寺院での法要を行います。
お彼岸の時期には、おはぎやぼた餅をつくって仏壇にお供えしたり、家族みんなで食べたり、ご近所におすそ分けをしたりする風習があります。
昔から日本では「赤色」に「魔除け」の力があると言われており、小豆はお赤飯や砂糖をまぜてあんこにして祝いの席や儀式に捧げられてきました。その習慣から、お餅には「五穀豊穣」を、小豆には「魔除け」の意味を込めておはぎやぼた餅にしてご先祖さまへの感謝と家族の健康を願って墓前やお仏壇にお供えするようになったと言われています。
おはぎとぼた餅はよく似ていますが、なぜ呼び方が異なるのでしょう?
春の彼岸に供えるのは「ぼた餅」。春に鮮やかな花を咲かせる「牡丹」に由来していると言われ、大きな丸い形をしています。秋に供える「おはぎ」はもともと俵型で、秋の七草である「萩」の花の形が小豆の形と似ていることに由来しているのだそうです。秋に収穫されたばかりの小豆の皮は柔らかくそのまま皮を残しても食べられるので、おはぎは粒あん。皮が固くなってしまっている春につくられるぼた餅は、皮を取り除いたこしあんが使用されています。